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1.便秘(大便秘結)
便秘は5つの代表的なタイプに分かれます。
実証だと「熱秘」という胃腸の熱によるものと、「気秘」という肝鬱によるものの2つに分けられます。
虚証の場合は、「気虚秘」「血虚秘」とそれぞれ気虚と血虚が原因になるものと、「冷秘」という腎陽虚が原因のものの3つに分けられます。
※血虚秘では兎糞状便がみられます。
便秘の治療基本穴
- 天枢(大腸の募穴)
- 大腸兪(大腸の背部兪穴)
- 上巨虚(大腸の下合穴)
- 支溝(三焦の経火穴)
- 照海(八脈交会穴)
1)熱秘(胃腸の熱)
【症状】
- 大便秘結、排便困難、腹部膨満(拒按)
- 顔面紅潮、身熱
- 口臭、口渇
- 心煩
【舌脈】
- 舌:紅
- 舌苔:黄燥
- 脈:滑実
【治療穴】
- 合谷(大腸の原穴)
- 曲池(大腸の合土穴)
- 内庭(胃の榮水穴)
2)肝鬱(気秘)
【症状】
- 大便秘結
- 便はそれほど乾燥していない
- 腹部から両脇にかけての脹痛
- 口苦、噯気(げっぷ)
- 目眩
【舌脈】
- 舌:紅
- 脈:弦
【治療穴】
- 太衝(肝の原穴、兪土穴)
- 中脘(胃の募穴、八会穴の腑会)
2.下痢(泄瀉)
「泄」とは大便が希薄で出たり止まったりするもの。
「瀉」とは、みずが注ぐように一直線に下るものを言います。
泄瀉は実証である「外邪」「傷食」「肝鬱」、虚証である「脾胃虚弱」「腎陽虚」という5つに分類されます。
※腎陽虚では五更泄瀉(明け方のみにみられる下痢)がみられます。
外邪と傷食による下痢は「暴泄(急性)」となり、脾胃虚弱と腎陽虚、肝鬱による下痢は「久泄(慢性)」になります。
下痢治療の基本穴
- 神闕
- 天枢(大腸の募穴)
- 大腸兪(大腸の背部兪穴)
- 上巨虚(大腸の下合穴)
- 三陰交
1)外邪
下痢には寒、湿、暑、熱が影響するが、特に湿邪によるものが多いとされています。
湿邪が最も脾に影響を及ぼすので、それによって脾気が抑止されて運化の失調により下痢となります。
①湿熱による泄瀉
湿に熱がからむと湿熱による下痢になります。
【症状】
- 急迫した下痢
- 腹痛と下痢が交互に起こる(あるいはすっきりしない)
- 悪臭を伴う
- 肛門の灼熱感、煩熱
- 口渇
- 尿少
【舌脈】
- 舌苔:黄膩
- 脈:濡数
※濡脈:浮位で触れ、脈幅が小さく柔らかい。少し按じると絶えそう。湿証や虚証でみられる。
②寒湿による泄瀉
湿に寒がからむと寒湿による下痢になります。
【症状】
- 便の質が希薄で水様
- 腹痛
- 腸鳴
- 食欲不振
【舌脈】
- 舌苔:白膩
- 脈:濡遅
2)傷食による下痢
暴飲暴食や傷んだものを食べたことが原因でおこる下痢
【症状】
- 腹痛腸鳴
- 糞便が腐った卵のような臭い
- 泄瀉後は腹痛が軽減
- 腹部脹満、食欲不振
- 酸臭をともなう噯気
【舌脈】
- 舌苔:厚膩
- 脈:滑
※滑脈:脈の流れがなめらかで、円滑に指に触れる。痰湿や食滞でみられる。
3)肝鬱による泄瀉
肝鬱気滞によって、それが脾に影響して下痢になるもの
【症状】
- 胸脇脹悶、腹中雷鳴
- 失気が頻発する
【舌脈】
- 脈:弦
※脈弦:肝胆病、痛証
4)脾胃虚弱による泄瀉
脾胃が衰えると水穀の受納と精微の運化ができなくなるので、それによって清濁の分別ができなくなることで泄瀉になる。
※水穀の精微:飲食物の栄養
【症状】
泄になったり、瀉になったりを長期間繰り返します。
【舌脈】
- 舌:淡
- 脈:細弱
5)腎陽虚
腎陽が虚してしまい、脾陽が温煦されないことで、運化機能が低下して泄瀉になる。
【症状】
- 五更泄瀉
- 腰部、腹部の冷え、四肢の冷え
- 腰膝酸軟
【舌脈】
- 舌:淡
- 脈:沈遅
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