a.視覚の性質
眼の構造はカメラに似ています。
網膜の視細胞が受容器となって、光を感受します。
光の経路は外側から、
角膜(外側のレンズ)
↓
↓眼房水で満たされる
↓
水晶体(内側のレンズ)
↓
↓空間は「硝子体」と呼ばれゼリー状のもので満たされる
↓
網膜
(1)遠近の調節
遠近の調節において、
・近くを見るときは「屈折力が増す」状態
・遠くを見るときは「屈折力が落ちる」状態
となっています。
眼の屈折力を「ジオプトリー(D)」と言います。
D=n(媒質の屈折力)/f(焦点距離(m))
※媒質が空気の場合はn=1
〜屈折異常の補正〜
近視:凹レンズ
遠視:凸レンズ
乱視:円柱レンズ
(2)明るさの調節
眼に入ってくる光の量を調節するのは「瞳孔」です。
瞳孔の大きさを調整するのは「虹彩」で、その虹彩を調整するのは
輪状に走行する「瞳孔括約筋」:副交感神経支配
放射状に走行する「瞳孔散大筋」:交感神経支配
光が眼に入ると反射性に副交感神経の活動が高まって縮瞳が起こります。
この反射を「対光反射(光反射)」と言います。
〜明暗反応〜
明るいところから暗いところへ移動した時に、だんだんと暗闇に慣れることを「暗順応」と言います。
だいたい所要時間は20〜30分です。
初めはすいじょう
(3)色の感覚
錐体細胞は、それぞれRGBに最大感度を持つものが3種類あります。
錐体細胞は網膜の中心窩に集中していて、色彩感覚が強くなっています。
杆体細胞は網膜の周辺部に多く、明暗の感覚が強くなっています。
(4)視野と視力
(1)視野
中心点からの角度は、
・鼻側:60°
・耳側:100°
・上方:60°
・下方:70°
中心点から外方へ約15°の付近に小円形の見えない部分があります。
これを盲斑(マリオットの盲点)と呼ばれます。
(2)視力
視力検査にはランドルト環が使われます。
(5)眼球運動と両眼視
(1)上直筋と下直筋
眼球の上下運動に作用する。
(2)内側直筋と外側直筋
眼球の内側・外側への回転に作用する
(3)上斜筋と下斜筋
下外側や上外側への回転に作用します。
支配神経は
外側直筋 ⇒ 外転神経
上斜筋 ⇒ 滑車神経
両眼で物を見る時は、両目は一定の共同運動を行います。
「共同偏視」は、一方が外転するのに合わせてもう一方が内転する運動。
「輻輳」は、両眼とも内転する運動。
b.視覚の受容器と伝導路
(1)網膜の構造と機能
網膜の構造は以下の通りです。
視覚情報の主な経路は、
視細胞
↓
双極細胞
↓
神経節細胞
となっていて、その視覚情報は水平細胞とアマクリン細胞によって修復されます。
(1)視細胞
視細胞は光の受容器です。
「錐体細胞」は明るいところで色や形を認識します。
「杆体細胞」は薄暗いところで明暗や形を識別します。
視神経乳頭部の少し外側に中心窩および黄斑があり、そこには錐体細胞が密集しています。
その部分が1番視力が良いとされています。
杆体細胞には「ロドプシン」という感光色素が含まれていて、これに光が当たることで細胞が反応します。
※ロドプシンの産生にはビタミンAが必要であるために、ビタミンA不足によって夜盲症となります。
(2)双極細胞と水平細胞とアマクリン細胞
視細胞が双極細胞と水平細胞に直接シナプス連絡します。
双極細胞は反対側で神経節細胞にシナプス連絡します。
アマクリン細胞は突起を横方向に伸ばして双極細胞と神経節細胞に連絡しています。
(3)神経節細胞
神経節細胞は双極細胞とアマクリン細胞から入力をうける。
神経節細胞が軸索を伸ばして脳に視覚情報を伝えます。
(4)色素細胞
網膜の視細胞層の外側に色素細胞があります。
入ってきた光が反射しないように光を吸収する働きと、視細胞と血管の間で栄養物や代謝物の受け渡しに働きます。
(2)視覚の伝導路と中枢機序
網膜から出てくる視神経は、
視交叉を経て
視床の外側膝状体に至ります。
外側膝状体でニューロンが交代して、大脳皮質の後頭葉にある視覚野に投射します。
〜緑内障と白内障〜
緑内障:眼圧の上昇
白内障:水晶体の混濁
〜視野欠損について〜