専門学校授業

腱反射の方法、反射弓についてまとめ

1)自律神経反射

1.対光反射

室内を暗くして瞳孔に光を当てると、瞳孔が収縮する反射です。

〜正常〜

直接対光反射:光を当てた瞳孔が収縮する。
共感性対光反射:光を当てた瞳孔の対側も瞳孔が収縮する

〜異常〜

視神経の障害:

《反射弓》

網膜

視神経(感覚神経)

中脳(エディンガー・ウェストファル核=動眼神経副核)

動眼神経(副交感神経)

瞳孔括約筋

 

2.近見反射(輻輳反射と調節反射)

遠方を見ている状態から視線を近くに注視させると、両目が内側に偏位して瞳孔が収縮する反射です。

〜正常〜

輻輳反射は、左右の瞳孔が中心に向くこと。
調節反射は、目の前の指標にピントを合わせるために瞳孔が収縮すること。

〜異常〜

眼球の内転や縮瞳ができない場合

《反射弓》

網膜

視神経(Ⅱ)

後頭葉(視覚野)

動眼神経(Ⅲ)

内直筋、瞳孔括約筋、毛様体筋

 

3.眼球心臓反射(アシュネル反射)

両眼球を指で圧迫すると、徐脈となる反射です。

〜正常〜

1分間に6〜8回程度の脈拍減少

〜異常〜

1分間に10回以上の脈拍減少

《反射弓》

眼球(角膜)

三叉神経(Ⅴ)

延髄(心臓血管中枢)

迷走神経(Ⅹ)

心臓

 

4.頸動脈洞反射(ツェルマク・ヘーリング反射)

頸部で、片方の頸動脈洞を圧迫すると、徐脈や血圧降下が起こる反射です。

〜正常〜

脈拍の減少、血圧の降下が起こります。

〜異常〜

反射が更新すると、1分間に10回以上の徐脈が起こります。

《反射弓》

頸動脈洞

舌咽神経(Ⅸ)

延髄(孤束核)

延髄(迷走神経背側核)

迷走神経(Ⅹ)

心臓・血管

 

2)表在反射

(1)粘膜反射

1.角膜反射

患者に片側を見せて、角膜を綿糸で軽く触れると瞬間的に目を閉じる反射です。

〜正常〜

角膜が触れた瞬間に眼輪筋の収縮(閉眼)が起こります。

〜異常〜

三叉神経の障害の場合は、両目を閉じるのが弱くなるか目を閉じれない。
顔面神経の障害の場合は、障害側の反射が無くなりますが、健側では反射が起こります。

《反射弓》

角膜

三叉神経(Ⅴ)



顔面神経(Ⅶ)

眼輪筋

 

2.鼻粘膜反射(くしゃみ反射)

鼻粘膜をこよりなどで刺激したときに起きるくしゃみの反射

〜正常〜
〜異常〜
《反射弓》

鼻粘膜

三叉神経(Ⅴ)

脳幹・上部頸髄

三叉・顔面・舌咽・迷走・上部頸髄神経

呼吸筋

 

3.咽頭反射(催吐反射)

咽頭口壁の粘膜を舌圧子などで刺激すると、嘔吐を催す反射

〜正常〜

咽頭筋が収縮し、嘔吐するような動きが誘発される

〜異常〜

嘔吐するような動きが片側で欠如している。ただし、健常人でも40%が欠如しています。

《反射弓》

上部消化管粘膜

舌咽神経

延髄

迷走神経

咽頭筋

 

(2)皮膚反射

1.腹壁反射

腹壁をハンマーの柄や先端を潰した針、ピンなどですばやくこすると、腹壁筋肉が収縮して臍が移動する反射です。

〜正常〜

臍が偏移する

〜異常〜

臍の偏移に左右差がある

《反射弓》

T6~12神経、L1神経

脊髄

T6~12神経、L1神経

 

3)深部反射

1.上腕二頭筋腱反射

筋皮神経⇔C5,6

2.上腕三頭筋腱反射

橈骨神経⇔C6,7

3.膝蓋腱反射

大腿神経⇔L2~4

4.アキレス腱反射

脛骨神経⇔S1~2

 

4)病的反射

左右のどちらかで反射が見られる場合(陽性)は、病的意義があるとされています。
両方どちらも反射が見られる場合は、必ずしも病的意義があるとは言えない。

(1)上肢の病的反射

a.ホフマン反射

《検査法》

被験者の中指末節をはさんで、その末節を掌側にはじく。

《陽性所見》

母指が掌側に屈曲する

 

b.トレムナー反射

《検査法》

被験者に、手関節を軽度背屈、手指を軽度屈曲させる。
中指末節を背側にはじく。

《陽性所見》

母指が掌側に屈曲する

 

c.ワルテンベルグ反射

《検査法》

手掌を上にした状態で、検者の膝の上に置く。
示指〜小指を軽く屈曲させる。
示指〜中指の末端に、検者の示指と中指を伸ばして横に置く。
検者の指の上から打腱器でたたく

《陽性所見》

母指が屈曲する。

 

(2)下肢の病的反射

a.バビンスキー反射

※最も信頼できる錐体路の徴候

《検査法》

足底をかかとから外縁を通って、2趾までこする。
※母趾の基部まではこすらない。
※繰り返しの刺激が必要な場合がある。

《陽性所見》

伸展性足底反射:母趾が徐々に背屈する。
開扇徴候(かいせん):母趾を除く四趾が扇のように開いて足底側に屈曲する。

※正常な反射は「足底反射」と言い、母趾が底屈。

 

※以下、バビンスキー反射の変法※

b.チャドック反射

バビンスキー反射の変法の中で最も陽性率が高い反射。

《検査法》

外果の後ろから下を回って背側外側をこする。

《陽性所見》

母趾が徐々に背屈する
他の四趾が扇のように開いて足底側に屈曲する。

c.オッペンハイム反射

d.ゴードン反射

e.シェーファー反射

f.ゴンダ反射

(3)足底筋の病的反射

a.ロッソリーモ反射

b.メンデル・ベヒテレフ反射

 

(4)間代(クローヌス)

反射が著しく亢進したもの。

c.足クローヌス(足間代(あしかんだい)

足が一度屈曲されると、間代性に背屈・底屈運動を繰り返す現象。

 

d.膝クローヌス(膝間代(ひざかんだい)

膝蓋骨を動かされると、膝蓋骨が踊るように上下運動を繰り返す現象。

 

※運動麻痺の分類※

 

5)原始反射