プロローグ
「新型コロナウィルス感染症はただの風邪ではない」
Q.新型コロナウィルスに感染するとどうなるの?
Q.集中治療室に入るのは感染者の何%くらい?
Q.PCR検査は当てになるの?
Q.世代によって重症度が著しく異なるのはなぜ?
Q.ウィルスが細胞に侵入するのにかかる時間は?
第一章
「新型コロナワクチンは本当に効くのか?」
Q.ファイザー製とモデルナ製、どちらを選んだらいい?
ワクチンの有効性、副反応のリスク、どちらの視点で考えても、大きな差はない。
(発症予防の有効性がファイザー製は95%、モデルナ製が94%など)
Q.ワクチン接種で、発症、重症化、感染リスクはどれだけ低下するか?
2021年4月のデータでは、ウィルスを無力化する中和抗体の持続性はmRNAワクチンにおいて少なくとも6ヶ月以上。2回接種により1年間くらいは感染を防ぐレベルの免疫効果が得られると期待される。
Q.予防効果はいつまで持続するか?
2021年4月のデータでは、ウィルスを無力化する中和抗体の持続性はmRNAワクチンにおいて少なくとも6ヶ月以上。2回接種により1年間くらいは感染を防ぐレベルの免疫効果が得られると期待される。
Q.インド型変異株へのmRNAワクチンの有効率は?
第2章
「新型コロナワクチンは本当に安全か?」
Q.ワクチン接種で重症化するリスクはどの程度あるの?
ワクチン接種によるリスクは
・年齢による重症化リスク
・不特定多数と接触する業務についている感染リスク
・居住する地域の医療機関の逼迫度
・懸念される副反応の重さ
など。
その上でワクチン接種によるメリットが大きいと納得できた時に接種すべき。
接種直後でも感染リスクがある。
1回目の接種後10日くらいで期待される効果が出るが、2回接種公開の半分程度。
2回接種後、2週間後くらいで十分な免疫が期待できる。
Q.接種後の発熱や頭痛がひどいと聞き、不安です
副反応が起こるタイミングは、
・接種直後〜数日以内
・接種から2〜4週間後
・ワクチン接種をした人が接種後に新型コロナに感染した時
重篤な副反応、例えばアナフィラキシーは100万回に3〜5回程度。
副反応が出やすいのは「免疫力が高い」から
高齢者より若年層の方が出やすい、男性よりも女性のほうが出やすい
副反応の程度と、その後に付与される免疫の程度は必ずしも比例しない
ワクチン接種による発熱か、新型コロナウィルス感染などによる発熱か厳密には区別できない
Q.ファイザー製とモデルナ製の副反応、どちらが強い?
ファイザー製とモデルナ製、国内の臨床試験データによると若干モデルナ製の方が多く副反応が見られるが、大きな差ではない。
Q.副反応の予防で鎮痛・解熱剤を服用していい?
予防として事前に服用はしないほうがよい。
免疫をつくる反応を阻害する可能性がある。
Q.妊娠中、授乳中、妊娠計画中でも接種しても大丈夫?
ワクチン開発当初は妊婦や胎児にどのような影響がでるのか、データがほとんどなかった。
2021年5月時点アメリカでは10万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを摂取し、そのうち3万5000人の女性を調べたところ、副反応の程度は特に影響がなさそうで胎児や出産への影響は今の所認められていない。
mRNAワクチンは生ワクチンなどと違って病原体そのものではないので、接種のリスクよりもウィルス感染によるリスクのほうが大きいと考えられている。
日本でも妊娠後期にPCR検査陽性だった場合重症化しやすいとの方向もされている。
第3章
「ワクチンはそもそもなぜ効くのか?」
Q.自然免疫と獲得免疫は何が違うの?
自然免疫は生まれ持った免疫で、体内にウィルスが侵入してきたらすぐに働く。
獲得免疫は、感染したりワクチン接種によってできる免疫で、体内にウィルスが侵入してから数日経ってから働く。
Q.そもそも抗体、抗原ってなに?
抗原は、人間の体の中にある免疫機能がウィルスを認識するための目印。
抗体は、抗原に対して結合するもの。
抗原に抗体がくっつくことで病原体は不活化もしくは死滅する。
Q.免疫細胞はどうやってウィルスを認識するんだろう?
自然免疫と獲得免疫で病原体の認識方法は違う。
自然免疫に関わる細胞は、「ざっくりと異物を認識する」。
また、病原体だけでなく自分のからだの壊れた成分も認識する
獲得免疫に関わる細胞は、「抗原レセプター」という超高性能アンテナを用いて異物を認識する。
新型コロナウィルスかインフルエンザウィルスかを識別するだけでなく、コロナウィルスの細かい種類まで識別することができる。
一つのリンパ球は一つの抗原レセプターしか持てない
ただ、身体には何十万種類のリンパ球があるので、何十万種類の抗原を認識できる。
Q.子どもはなぜ新型コロナにかかりにくいの?
BCGを含め、小学校を卒業するまでに10種類以上もワクチン接種を受けるので、そのたびにアジュバントによる刺激で自然免疫が訓練されることが、子どもが新型コロナにかかりにくい理由の一つと考えられている。
インフルエンザについて、子どもの方がかかりやすいのは、大人と比べて獲得免疫が少ないからではないかと考えられている。
Q.アジュバント(免疫増強剤)ってどんなもの?
ワクチンの効果を高めてくれる。
からだの免疫の仕組み(特に自然免疫系)を強く刺激するので、局所に炎症性サイトカインを作らせる。
それによって投与を受けた部位が、腫れたり熱が出たり、時には全身で発熱することがある。
第4章
「ワクチン接種で将来『不利益』を被ることはないのか?」
Q.1年未満で作った急造ワクチン、本当に大丈夫?
mRNAワクチンの技術自体は20年以上も前から基礎研究を続けられていたもの。
これまでの生ワクチンや不活化ワクチンは、ウィルス病原体をもとに作られているが、mRNAワクチンはウィルス病原体そのものでも構成部品でもなく、ウィルスの遺伝子の一部(mRNA)を含んだワクチン。
ウィルスの一部になるタンパク質の遺伝情報だけが入っているので、感染はせずに抗原ができる。
Q.ワクチン接種でウィルス感染することはあるの?
生ワクチンだとその可能性がある。
mRNAワクチンだとない。
Q.mRNAワクチン接種の長期的リスクを知りたい
mRNA自体は体内で一日半くらいしか生きられない。
mRNAワクチンはウィルスの一部でしかないので病原性や感染性を発揮するものではない。
Q.接種でできた悪玉抗体が将来、禍をもたらさないか不安
抗体依存性感染増強リスクというのは考えておかなければならない。
ワクチン接種でできた抗体の中に悪玉抗体というのが出来た時に、接種後にウィルス感染した時にかえって病態を悪化させてしまうことになる可能性がある。
抗体には、「善玉」「悪玉」「役なし」の3つがある。
Q.ウィルス遺伝子が自分のゲノムに入らないか心配
DNAワクチンは微量であり、ほんの一部が細胞内にとりこまれる。
DNAは細胞分裂が終わったら分解されるので、人間の遺伝子を侵食する可能性は非常に起こりにくい。
むしろ、ワクチンでウィルスのDNAが増殖するのなら、ウィルスそのものに感染するのほうがよっぽど増殖する可能性がある。