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東洋医学では発熱を「外感性発熱」と「内傷性発熱」の2つに分類します。
ここでは、2つの発熱についてそれぞれの特徴などをまとめていきます。
1.外感性発熱
外感性発熱は、外邪が人の体に侵襲して来た時に、人体の正気と外邪がぶつかり合うことで起こる発熱です。
外感性発熱の分類
外感性発熱は「実証」しかありません。
基本的に六淫である「風、熱(暑・火)、湿、燥、寒」のどれでも発熱は起こるとされています。
1)風熱
【症状】
- 発熱、悪風
- 咳嗽、鼻淵、鼻汁(黄色・粘ちょう)
※鼻淵:蓄膿症 - 頭痛、四肢のだるさ
【舌脈】
- 舌苔:薄黄
- 脈:浮数
2)風寒
【症状】
- 発熱、悪寒
- 咳嗽、鼻淵、鼻汁(白色、薄い)
- 頭痛、四肢のだるさ、無汗
【舌脈】
- 脈:浮遅、浮緊
3)湿熱 / 4)寒湿
①脾胃湿熱
【症状】
- 身熱不揚
※湿邪と熱が内部に停滞しているためにみられる症状。患者自身は発熱を自覚できますが、検者は皮膚に触れても熱く感じず、しばらく触れていてようやく熱を感じる程度のもの。 - 汗が出ても下がらない。
- 胸腹脹満
※胸やお腹が張った感じがする - 納呆悪心
※少食ですぐ気持ち悪くなる
【舌脈】
- 舌苔:黄膩苔
- 脈:滑数
②大腸湿熱
【症状】
- 発熱、腹痛
- 泄瀉、赤白膿血便、裏急後重、肛門灼熱
- 口の渇き、口苦
- 尿短赤
【舌脈】
- 舌:紅
- 舌苔:黄膩
- 脈:滑数
③膀胱湿熱
【症状】
- 発熱(午後に顕著)
- 頻尿、尿急、尿痛(灼痛)、小便熱黄赤
- 腰部or小腹部の疼痛
【舌脈】
- 舌:紅
- 舌苔:黄膩
- 脈:滑数
5)暑湿(中暑)
①軽症の場合
【症状】
- 身熱
※全身的な発熱 - 眩暈、頭痛
- 少汗
- 嘔吐
- 倦怠嗜睡
【舌脈】
- 舌苔:白膩
- 脈:濡数
②重症の場合
【症状】
- 壮熱
- 無汗
- 肌膚灼熱、面紅目赤
- 口唇乾燥、煩渇多飲
- 神志昏迷、痙攣
【舌脈】
- 舌:紅少津
- 脈:洪数
※洪は熱盛の時にみられる。浮いていて拍動は強くしっかり触れるが、去る時に勢いが衰える脈。
2.内傷性発熱
内傷性発熱の分類
実証では「肝火」「瘀血」が原因となります。
虚証では「陰虚」「血虚」「気虚」が原因となります。
1)肝火
【症状】
- 発熱(基本的には微熱だが、情緒の状態によって熱勢が変化する。)
- 精神抑鬱
- 胸脇脹満
- 易怒
- 口苦
【舌脈】
- 舌:紅
- 舌苔:黄
- 脈:弦数
2)瘀血
【症状】
- 発熱(午後や夜間に顕著)
- 自覚的に身体のある部分に熱を感じる
- 口渇(飲み物は飲みたくない)
- 固定性の刺痛or腫塊
- は暗黒色or艶のない黄色
【舌脈】
- 舌:青紫、瘀点瘀斑、舌下怒張
- 脈:渋数
※渋脈=濇脈、流れが悪くざらざらしたもの。血瘀で診られる。
3)陰虚
【症状】
- 午後or夜間の潮熱
- 骨蒸潮熱(骨の髄から出てくるような熱)
- 手足のほてり、口渇
- 盗汗、心煩、不眠、多夢
- 便秘
- 尿短黄
【舌脈】
- 舌:紅、少津、裂紋
- 脈:細数
4)血虚
【症状】
- 発熱(多くは微熱)
- 眩暈、目がぼやける
- 倦怠感、四肢のしびれ
- 心悸、顔面蒼白、艶がない
- 口唇や爪の色が淡白
【舌脈】
- 脈:細弱数
5)気虚
①中気不足
【症状】
- 発熱(多くは微熱)
- 活動後に発作・悪化、倦怠感、無力感、息切れ
- 口数が少ない
- 自汗
- 易感冒
- 泥状便
【舌脈】
- 舌:淡
- 脈:細弱数
②内湿停滞
【症状】
- 微熱
- 午後に顕著
- 身熱不揚
- 脘腹膨満
- 全身がだるい
- 食欲不振
- 口渇不欲飲
- 悪心
- 大便希薄or粘滞ですっきりしない
【舌脈】
- 舌苔:白膩
- 脈:濡数
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