東洋医学概論

第5章 弁証論治 第2節 論治 Ⅱ.治法

1)治法八法

A)汗法(かんぽう)

発汗させて体表部に侵襲した邪気を汗とともに取り去る方法です。

B)吐法(とほう)

嘔吐させることで痰飲や食積を吐き出させる方法です。

C)下法(げほう)

瀉下法のことです。排便を促して病因を除去する方法です。

D)和法(わほう)

調和・協調させて、生理物質や臓腑の機能、陰陽の編盛編衰を調和させ改善に導く方法です。

E)温法(おんぽう)

温熱法とも言います。温性の生薬や灸を用いて、体内の寒邪を取り除く方法です。

F)清法(せいほう)

清熱法とも言います。熱邪を取り除く方法です。熱邪がある場所によって方法が異なります。

G)補法(ほほう)

不足した生理物質を補います。減退した臓腑の機能を回復させる方法です。

H)消法(しょうほう)

停滞や貯留した病理物質を消散させて除去する方法で瀉法の一つです。

 

※暗記用ゴロ

あせを吐く下は、音声を保証

(汗、吐、下、和、温、清、補、消)

 

2)生理物質の病証に対する治法

A.虚証

【気虚】:補気、益気

【血虚】:補血、養血

【精虚】:填精、固精

【陰虚】:滋陰、潜陽(※陰虚陽亢の場合)

【陽虚】:温陽

 

※虚の前の文字が1文字の場合
  • 【気虚】補、益
  • 【血虚】補、養
  • 【精虚】固、填
  • 【陰虚】滋
  • 【陽虚】温

 

※虚の前が2文字以上、または「〜不足」の場合
  • 【陰陽の失調でない場合】補益
  • 【陰虚の場合】滋補
  • 【陽虚の場合】温補
  • 【陰陽両虚】双補

 

B.実証

【気滞】:理気、行気こうき

【血瘀】:活血、化瘀

【痰】:去痰、化痰

【湿】:化湿、利湿、虚湿

 

C.気機の失調を伴う病態

【気陥】昇提しょうてい

【気逆】:降逆

 

3)臓腑の病証に対する治法

A.各臓腑の治法

【肝の病証】
疏肝:疏泄を調節して元に戻す
平肝:上昇した気機を下降させる

【心の病証】
寧心:心を寧静させる
養心:心を養う

【脾の病証】
健脾:運化の失調を健やかにして整える

【肺の病証】
宣肺:宣発の失調を整える
粛肺:粛降の失調を整える
潤肺:肺陰虚の失調を整える

【腎の病証】
補腎:腎の機能失調を正常にもどす

【胃・中焦】
和胃:胃の気機の失調を調和させる
補中:中焦を補う

 

4)外感病に対する治法

A.六淫の治法

【風邪】:去風、疏風

【寒邪】:散寒

【暑邪】:清暑

【湿邪】:虚湿、化湿、利湿

【燥邪】:清燥、潤燥

【火邪】:瀉火

【熱邪】:清熱

 

5)症候に対する治法

【疼痛】:止痛

【眩暈】:止暈

【泄瀉】:止瀉

6)その他の治法

【食滞】:消食導滞

【血熱】:清熱涼血

【内風】:熄風