a.ニューロン
ニューロンとは?
- 細胞体
- 樹状突起
- 軸索(終末:神経終末)
によって構成されます
ニューロンの働きは?
刺激によって興奮し、それを伝える働きをもちます。
ニューロンの成長は?
胎児の時期にさかんに分裂・増殖を繰り返しますが、生後早い時期に分裂を終えます。
ニューロンの構成は?
ニューロンの形や大きさは多様です。
細胞の内容は他の細胞と同様に、核や細胞質、細胞骨格、細胞小器官などを持ちます。
ニューロンの構造は?
①樹状突起
他のニューロンからの情報を受け取る機能を持ちます。
複数本の突起として細胞体から起始し、その先で多数の枝に分かれます。
著しく発達した樹状突起の例として「小脳のプルキンエ細胞」が挙げられます。
②軸索
情報を伝える突起です。ニューロンが受け取った情報は、
・軸索を伝わって(=伝導)
・神経終末から他の細胞へ伝わります(=伝達)
※「伝導」と「伝達」の意味を理解しましょう。
b.支持細胞
支持細胞とは「グリア細胞(神経膠細胞)」のことです。
グリア細胞はニューロンと異なり、
- 活動電位は発生しません。
- 生後も分裂機能を持ちます。
グリア細胞の働きは?
グリア細胞の働きはニューロンを支えることです。
ニューロンと血液の間で、栄養や代謝産物などの物質交換に関与しています。
①末梢神経系のグリア細胞
「シュワン細胞」
脂質とタンパク質の混合物からなる鞘(髄鞘orミエリン)が細胞膜となって、軸索の周りに幾重にも「シュワン細胞」が巻きついています。
- 「有髄線維」・・・髄鞘を持つ神経線維のことです。
- 「無髄線維」・・・髄鞘に囲まれていない神経線維のことです。
※無髄線維では、1個のシュワン細胞が数本の軸索を包んでいます。 - 「ランビエ絞輪」・・・各髄鞘の間のことです
②中枢神経系のグリア細胞
中枢神経系にはニューロンの約5〜10倍のグリア細胞があります。
「アストロサイト(星状膠細胞)」
ニューロンと血液間での物質交換に関与します。
「オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)」
末梢神経系でのシュワン細胞に相当する細胞ですが、髄鞘を形成するものとしないものがあります。
「ミクログリア(小膠細胞)」
マクロファージの一種で、異物の除去に働きます。
c.軸索輸送
ニューロンの軸索の中では、物質の輸送(軸索輸送or軸索流)が行われています。
軸索輸送によって細胞体や軸索に必要な物質の相互の運搬や代謝産物の除去が行われています。
軸索輸送の分類について
物質の輸送の方向で分類されます。
①順行性軸索輸送
細胞体で合成された物質が、神経終末に運搬されることです。
②逆行性軸索輸送
神経終末で細胞内に取り込まれた物質が、細胞体に運搬されることです。
軸索輸送の仕組みについて
細胞内に「微小管」という物質を運搬するためのレールのようなものが張り巡らされています。
微小管にある「モータータンパク」が物質を運びます。
モータータンパクには2種類あり、
・「キネシン」が順行性輸送
・「ダイニン」が逆行性輸送
として働きます。
軸索輸送の速度は?
①早い輸送(400〜600mm/日)
神経伝達物質やその材料が運ばれます。
②遅い輸送(0.5〜4mm/日)
細胞骨格を作るタンパク質や可溶性酵素などが運ばれます。
神経軸索の再生の速度とも関係します。
d.変性と再生
ニューロンは生後早い時期に分裂・増殖が停止しますが、軸索は生後も分枝や伸長できます。
軸索の切断によって何が起こるか?
順行性変性(ワーラー変性)
細胞体からの軸索輸送が絶たれてしまい、切断部より末梢側の軸索に「髄鞘の変性分解」「軸索自体の膨化や溶解」が起こり変性します。
末梢神経系ではどうなる?
切断されて軸索が変性すると…
シュワン細胞が残り、中空の管となります。
その後、細胞体が生き残っていれば、シュワン細胞の管に沿って軸索が伸びてきて神経線維が再生されます。
軸索を切ったあとは…
ワーラー変性(順行性変性)とは逆に、切断面から細胞体側に向かって変性が起こることがあります。これを「逆行性変性」と言います。
この場合、細胞体が変性しニューロンが消失してしまう場合があります。
切断部位が細胞体に近いほど逆行性変性を起こしやすいです。
中枢神経系ではどうなる?
軸索の切断部にグリアの瘢痕ができるので、軸索が損傷部位を越えて再生することは困難です。
軸索発芽とは?
中枢神経内で、ある軸索の周辺の軸索が損傷を受けた時に、損傷を受けなかった軸索が枝分かれして芽を出すように伸びて新しいシナプスを作ること。
神経成長因子とは?
Nerve Growth Factor(NGF)
神経細胞に作用して神経突起の伸長促進、生存維持、分化誘導などの活性を示すたんぱく質分子のことです。
1970年代に類似の多数した多数の物質が発見され、「神経栄養因子(neurotrophic factor)」と呼ばれるようになりました。
「神経栄養因子」はグリア細胞、節、神経細胞自体などで産生されます。
主な神経栄養因子
- 神経成長因子(NGF)
- 脳由来神経栄養因子(BDNF:brain derived neurotrophic factor)
- ニューロトロフィン(NT:neurotrophin)
- 線維芽細胞成長因子(FGF:Fibroblast Growth Factor)
などがあります。
ニューロンには神経成長因子に対する受容体があります。
ニューロンの新生とは?
これまでは生後にニューロンは増殖しないとされてきたが、最近では海馬などで未分化の神経幹細胞から神経細胞が新生されることが報告されてきています。
ニューロンの死とは?
「ネクローシス」
ニューロンが虚血、炎症、外傷、中毒などで死ぬ場合のことです。
「アポトーシス」
外的要因がないのに遺伝子のプログラムによって死ぬ場合