生理学

体性感覚 まとめ

体性感覚には

・皮膚感覚(表在感覚)
・深部感覚

という2種類の感覚があります。

 

a.皮膚感覚(表在感覚)

皮膚感覚には、
触圧覚
温覚
冷覚
痛覚
の4種類の感覚があります。

身体の部位によって各々の感覚点の分布量は違いますが、平均すると
痛点が1番多く、
次いで触圧点、冷点、温点となっています。

 

(1)触・圧覚

触覚と圧覚には連続性があるので、質的には共通したものだと考えられています。

 

(2)2点弁別閾

皮膚上の2箇所に刺激を加えたとき、2点間の距離が短いと1点として感じます。
2点として識別できる最小距離を2点弁別閾と言います。
※指先や舌で最小で、上腕や下腿では大きくなっています。

 

(3)触・圧覚の受容器

受容器は
メルケル盤
ルフィニ終末
マイスネル小体
パチニ小体
などがあります。

メルケル盤ルフィニ終末は順応が遅いです。
パチニ小体は順応が早いです。
マイスネル小体と毛包受容器は刺激の動きに応じて反応し、速度検出機能を果たします。

これらの受容器の求心性神経線維の分類は
太くて早い有髄のAβ(Ⅱ)です。

 

(4)温度感覚

皮膚は33度前後の温度刺激だと、冷覚も温覚も起こりません。
これを無感温度と言います。

冷覚の求心性神経は細い有髄のAδ(Ⅲ)
温覚の求心性神経はさらに細い無髄のC(Ⅳ)

皮膚の温度が30〜45度の範囲で上下すると受容器のインパルスが増減します。
・低下すると:冷受容器のインパルスが増加
・上昇すると:温受容器のインパルスが増加

(5)痛覚

「痛覚 まとめ」参照

 

(6)くすぐったい感じ、痒い感じ

くすぐったい感じは心理的な要因が強いとされています。

痒い感じは皮膚の肥満細胞から放出されたヒスタミンが求心性神経線維を刺激することが原因とされています。

 

b.深部感覚

眼を閉じた状態でも、手足の位置や曲がり具合といった動きを感じることができます。
これらの感覚を深部感覚と言います。

受容器となるのは、
筋紡錘
腱紡錘
・関節包にあるルフィニ終末パチニ小体

 

(1)運動感覚(固有感覚)

運動感覚はいくつかの種類に分けられます。

位置感覚

眼を閉じても四肢や身体の位置が分かる

動きの感覚

関節の運動が分かる

力、重さの感覚

物体を持ってその重さやそれを保持するのに必要な筋力が分かる

 

(2)振動感覚

物体の振動に対する感覚で、皮膚や深部組織に分布する「パチニ小体」が関与します。

 

(3)深部痛覚

「痛覚 まとめ」参照

 

c.体性感覚の伝導路

(1)手足、後頭部、体幹の体性感覚

温度感覚や痛覚、原始触覚は脊髄視床路を通ります。
深部感覚や識別性触覚は後索−内側毛帯路を通ります。

他には、
感覚情報を間脳や大脳辺縁系に伝える脊髄網様体路
運動や姿勢維持に関与する脊髄小脳路

 

(2)顔面の体性感覚

顔面の体性感覚の情報は、

三叉神経を通って、

脳幹と脊髄に送られ、

視床を通って

体性感覚野に伝わります。

 

(3)体性感覚入力の脊髄分節

皮膚分節はデルマトームに従います。
また、皮膚分節よりも複雑な筋分節も存在します。