骨格筋には
・運動神経(中枢神経の運動指令を筋に伝える)
・感覚神経(筋の情報を中枢神経に伝える)
2種類の末梢神経が存在します。
運動神経は
・α運動ニューロン
・γ運動ニューロン
に分類されます。※詳細は後述
筋、腱の伸展の情報は
・Ⅰa群求心性線維(骨格筋の伸展)
・Ⅰb群求心性線維(腱の伸展)
によって、中枢神経系に伝えられます。
a.運動単位とα運動ニューロン
骨格筋の収縮や弛緩に関する中枢神経系からの命令は、脊髄前角または脳幹に起始する「α運動ニューロン」を介して伝えられます。
1つの運動ニューロンは数本〜数百本の筋繊維を支配しています。
また、個々の筋繊維はかならず1つの運動ニューロンのみで支配されています。
1つの運動ニューロンによって支配される筋繊維群を「運動単位」と言います。
運動ニューロンが何本の筋繊維を支配するかというのは筋肉によって異なります。これを神経支配比と言います。
一般的には筋支配比が小さいほうが細かい運動で、筋支配比が大きい方は大まかな運動をになっています。
運動単位の種類は、性質の違いから通常3つのタイプに分けられます。
①FF型(fast-twitch fatigable type)
早く収縮し、疲れやすい。
比較的大きな細胞体と、太い軸索を持ちます。
②S型(slow-twitch type)
ゆっくりと収縮し、疲労しにくい。
比較的小さな細胞体と、細い軸索を持ちます。
③FR型(fast-twitch fatigue resistant type)
早く収縮し、疲れにくい。
FF型とS型の中間。
b.神経筋接合部の興奮伝達
運動ニューロンの軸索の末端は骨格筋とつながり、インパルスの伝達を行います。そのつながっている部分を「神経筋接合部」と言います。
運動ニューロンの末端からアセチルコリンが放出され、筋細胞膜にあるアセチルコリン受容体に働くことで脱分極が起こり筋収縮が起こります。脱分極が起こるものを終末電位といいます。
シナプス間隙に出たアセチルコリンは、アセチルコリンエステラーゼによって瞬時に分解されます。
〜神経筋接合部の特徴〜
・1方向性
・シナプス遅延
(化学シナプスの特徴である)
・クラーレなどによって伝達が遮断される
(小胞を開かせないor受容体に受け取らせない)
・疲労しやすい
c.筋紡錘と腱受容器
骨格筋には
・錘外筋繊維(太くて長い筋繊維)
・錘内筋繊維(錘外筋繊維の間にある細くて短い線維)
が存在しています。
一般的には、
骨格筋の収縮=α運動ニューロンによる錘外筋繊維の収縮
を意味します。
錘内筋繊維は数本の線維が1つの単位になって紡錘型をしているので「筋紡錘」と呼ばれています。
筋紡錘の両端が細く伸びて錘外筋繊維に付着します。
骨格筋の伸縮に応じる受容器は錘内筋繊維に存在します。
この受容器はⅠa群求心性線維(細い)によって中枢神経に伝えられます。
また、筋の収縮に関する情報は腱受容器からのⅠb群求心性線維(太い)によっても中枢神経に伝えられます。
※筋が収縮して腱が伸展すると興奮するので、等尺性収縮ではⅠa群求心性線維に変化は無く、Ⅰb群求心性線維が興奮して中枢神経に伝えます。
d.γ運動ニューロン
筋紡錘の中にある錘内筋繊維は、求心性神経と遠心性神経のどちらの支配も受けます。
中枢神経系からの指令を錘内筋繊維に伝える遠心性線維をγ運動ニューロンと言います。
γ運動ニューロンはα運動ニューロンに比べて…
・細胞体が小さい
・線維が細い
・錘内筋繊維の両端に位置する
と言った特徴があります。
γ運動ニューロンが興奮すると、錘内筋繊維の両端が収縮するので中央部分は伸展されます。そうすることでⅠa群求心性線維の活動が増えます。
また、錘外筋が伸展している時にγ運動ニューロンが働くと、Ⅰa群求心性線維の活動は活発になります。錘外筋が収縮している時にγ運動ニューロンが働くと、Ⅰa群求心性線維の活動は抑制されない。
α−γ連関とは…
随意運動時(筋収縮時)に筋の長さの変化を中枢に伝える。
α運動ニューロンとγ運動ニューロンは両者が同時に興奮します。
e.骨格筋の緊張(筋緊張)
骨格筋はある程度トーヌスを持っている。
このトーヌスは筋が持つ弾性や粘性と言った物理的性質によるものと神経性の場合があります。
筋トーヌスは主に姿勢保持機能に関与します。姿勢保持(屈筋と伸筋のバランス)は個々の筋の相対的な緊張が関与するので、産熱が起こり体温調節にも役立ちます。