生理学

骨格筋の構造と働き

a.骨格筋の種類

※ATPase活性とは…
ATPaseはATPをADPとリン酸に分解する加水分解酵素です。その活性が高ければよりたくさんのATPを消費してエネルギーを生み出します。

※クレアチンキナーゼとは…
筋肉の中にある酵素で、クレアチンリン酸の合成や分解に使われます。
筋肉の収縮時にはクレアチンリン酸をクレアチンとリン酸に分解し、ADPにリン酸基を転移してATPを補給します。
休息時にはATPのリン酸基を一つクレアチンに転移し、クレアチンリン酸を合成します。

 

b.骨格筋の作用

(1)運動作用

関節につながる骨格筋が働くことによって運動が生じます。

 

(2)姿勢保持作用

体が止まっているときも骨格筋は一定の緊張状態になっていて、関節を安定させることで姿勢を保持させています。
主に赤筋が使われます。

 

(3)熱の産生

骨格筋の収縮や弛緩の際にエネルギーが消費されますが、この時に副産物として熱が発生します。
赤筋よりも白筋の方が熱産生は大きいです。

 

c.筋線維と筋原線維

 

d.筋の微細構造

筋原線維は主にアクチンフィラメントとミオシンフィラメントで構成されています。
アクチンフィラメントが細く
ミオシンフィラメントが太くなっています。

アクチンフィラメントはZ帯に付着しています。

《I帯》
アクチンフィラメントにミオシンフィラメントが重ならない部分

《A帯》
ミオシンフィラメントが存在する部分

《H帯》
ミオシンフィラメントしか存在しない部分

 

H帯が1番明るく見え、次にA帯、I帯が1番暗く見えます。
筋肉が収縮する時は、各フィラメントが短くなるのではなく、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントに滑り込んでいくので、H帯とI帯が短くなります。

ミオシンフィラメントから出ている多数の突起があって、それを「ミオシン頭部」と言います。
ミオシン頭部とアクチンフィラメントの間で、トロポミオシンという繊維状のたんぱく質が存在しています。
トロポミオシンにはトロポニンが付着していて、トロポニンに筋小胞体から放出されたカルシウムイオンが反応することで、トロポミオシンの構造が変化してミオシンとアクチンが結合できるようになって筋収縮が起こります。