解剖学

解剖学 自律神経まとめ

自律神経の特徴

  • 心筋・平滑筋の運動、腺の分泌を支配する。意識にのぼることなく、自動的に調節される。
  • 交感神経と副交感神経に分類される。臓器は両者に支配され拮抗的に働く。
  • 中枢を出ると、目的の臓器に達するまでに必ず一度ニューロンを交代する。
    (節前ニューロン、節後ニューロン)
  • 自律神経は末端から神経伝達物質を分泌する

 

(1)交感神経系

交感神経幹とは…

  • 胸髄と上部腰髄の側角に交感神経の節前ニューロンがある。
  • 脊柱の両脇に縦に長く伸びる。
  • 約20個の節後ニューロンの集まった幹神経節。神経線維の束によって数珠状につながっている。
  • それぞれの幹神経節は、2本の交通枝(灰白交通枝、白交通枝)によって脊髄神経とつながっている。
    交感神経幹神経節↔脊髄神経
  • 白交通枝は節前線維、灰白交通枝は節後線維

 

節前線維と節後線維

胸髄・腰髄(L1~2,3)から起始し、前根を経由して脊髄神経に合流する
(白交通枝を通って交感神経幹へ入る)

節前線維は3つの方向に分かれる。

①脊髄神経合流タイプ

交感神経幹神経節で節後ニューロンに交代。
灰白交通枝を通って脊髄神経と合流
脊髄神経とともに抹消へ分布

 

②交感神経幹構成タイプ

同分節の交感神経幹神経節よりも上位(or下位)分節の幹神経節まで上行(or下位)して節後ニューロンに交代する。
上行したものは頸部・上肢で、下降したものは骨盤部・下肢で交感神経幹を構成する。

 

③交感神経幹経由タイプ

一旦交感神経幹に入るものの、神経節でニューロンを代えずに節前線維のまま交感神経幹の前方に出て、内臓神経になる。

 

内臓神経について…

大動脈から分枝する動脈の基部で、神経節(腹腔神経節、上・下腸間膜動脈神経節)を作り、節後ニューロンに交代する。
節後ニューロンは血管に伴行して、腹部・骨盤内臓に分布する。

 

頸部の交感神経幹・神経節について…

ⅰ)上頚神経節

最大の幹神経節。
ここから上方への枝は、内頚動脈にまとわりついて頭蓋内に入る。
(毛様体神経節、翼口蓋神経節、顎下神経節、耳神経節)

ⅱ)中頚神経節

存在しないこともある

ⅲ)下頚神経節

鎖骨下動脈の起始部付近にある。
頸部、上肢の血管・皮膚などへ分布する。
第1胸神経節と合体して、大きな頚胸神経節(星状神経節)となることが多い。
※上肢の血流改善の目的で、この神経節を麻酔することがある。

 

 

(2)副交感神経系

  • 「脳幹の神経核」「仙髄の側角」に節前ニューロンが存在する
  • 脳神経や骨盤内臓神経として中枢から出て、臓器近くの神経節or臓器内のアウエルバッハ神経叢で節後ニューロンに交代し、平滑筋や分泌腺を支配する。

 

A)脳神経に含まれる副交感神経

①動眼神経

節前ニューロン
  • 起始:中脳の動眼神経副核
  • 動眼神経に混ざって眼窩に入り、毛様体神経節で節後ニューロンに代わる
節後ニューロン
  • 眼球内に入り、「内眼筋」である毛様体筋と瞳孔括約筋を支配する

 

②顔面神経

節前ニューロン
  • 起始:橋の上唾液核
  • 顔面神経に混ざって内耳孔に入り、2つのルートに分かれる。
節後ニューロン
  • 翼口蓋神経節:涙腺や鼻粘膜の腺に分布
  • 顎下神経節:舌下腺、顎下腺に分布

 

③舌咽神経

節前ニューロン

起始:延髄の下唾液核

舌咽神経に混ざって鼓室神経と小錐体神経を経由した後、耳神経節で節後ニューロンに交代する。

節後ニューロン

耳下腺に分布する

 

④迷走神経

節前ニューロン
  • 起始:延髄の迷走神経背核
  • 迷走神経に混ざって、頚 ・胸・腹部(骨盤内臓以外)の全内臓に分布する。
節後ニューロン

各臓器に散在する神経節(腸管の筋層間のアウエルバッハ神経叢など)で節後ニューロンに交代する。

 

B)骨盤内臓神経(S2〜4)

  • 骨盤部の副交感神経
  • 起始:仙髄の側角
  • 仙骨神経に混ざって前仙骨孔から出る
  • 各骨盤内臓に分布し、臓器壁内で節後ニューロンに交代