解剖学

解剖学 第8章 神経系

 

1.神経系の構成

①灰白質と白質
②神経線維
③求心性と遠心性
④神経の再生
⑤神経膠細胞(グリア細胞)
⑥ニューロン連鎖
⑦神経興奮伝達の方向性

2.中枢神経系

1)脊髄

(1)脊髄の区分

(2)脊髄の内部構造

①灰白質
②白質

2)延髄と橋

①延髄
②橋

3)中脳

4)小脳

5)間脳

(1)視床
(2)視床下部

6)大脳

(1)大脳皮質

①古皮質と新皮質
②運動野
③体性感覚野
④特殊感覚野
⑤連合野
⑥言語野

 

(2)大脳基底核

(3)大脳の白質

①連合線維
②交連線維
③投射線維

7)脳室系

8)髄膜

(1)硬膜

(2)クモ膜

(3)軟膜

9)脳脊髄液

10)脳の血管

 ①内頚動脈
 ②椎骨動脈
 ③大脳動脈輪
 ④脳の静脈

3.伝導路

(1)反斜路

(2)下行性伝導路

A)錐体路
B)錐体外路

(3)上行性伝導路

A)体性感覚伝導路
 ①外側脊髄視床路
 ②長後索路
 ③脊髄小脳路
B)視覚伝導路
C)聴覚伝導路
D)平衡感覚伝導路
E)味覚伝導路
F)嗅覚伝導路

4.末梢神経系

1)脳神経

①感覚性(Ⅰ,Ⅱ,Ⅷ)
②運動性(Ⅳ,Ⅵ,Ⅺ,Ⅻ)
③副交換性(Ⅲ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ)

2)脊髄神経

(1)脊髄神経の全体像

頚神経:8対(C1〜8)

胸神経:12対(T1〜12)

腰神経:5対(L1〜5)

仙骨神経:5対(S1〜5)

尾骨神経:1対(Co)

(2)脊髄神経の根部

(3)前枝と後枝

前枝
  • 体幹の腹側の皮膚と筋
  • 体肢の皮膚と筋
  • 対応する領域が広いため、長く太い
後枝
  • 体幹の背側の皮膚と固有背筋
  • 対応する領域が狭いので、細い

(4)分節構造と神経叢

デルマトームは31分割

(5)脊髄神経の分布先

①頚神経(C1〜5)
ⅰ)前枝
  • C1〜4:頸神経叢
  • C5〜8+T1:腕神経叢
C1~4の皮枝

後頭部、頸部、鎖骨上部の皮膚を支配

  • 小後頭神経
  • 大耳介神経
  • 頚横神経
  • 鎖骨上神経
C1~4の筋枝
  • C1〜3:頚神経ワナを形成⇒舌骨下筋へ
  • C4:横隔神経を形成⇒横隔膜へ

 

ⅱ)後枝
  • C1:後頭下神経
  • C2:大後頭神経
※腕神経叢:(C5〜8,T1の前枝)
  • 上神経幹
  • 中神経幹
  • 下神経幹

の3つの神経幹を作る。この間に斜角筋隙を通り外側頚三角に出る(鎖骨上部)

鎖骨下部にて3本の神経幹はそれぞれ前部と後部の二本ずつに分岐する。その後神経束を構成する。

  • 外側神経束
  • 内側神経束
  • 後神経束

『外側神経束(C5~6)』
【筋皮神経】
筋枝:上腕の屈筋を支配
皮枝:外側前腕皮神経となって、前腕外側に分布

『内側神経束(C8~T1)』
【尺骨神経】
筋枝:前腕の屈筋群、手の筋
皮枝:薬指、小指の皮膚

『外側神経束+内側神経束(C5~T1)』
【正中神経】
筋枝:前腕の屈筋群、手の筋
皮枝:手掌(薬指より橈側の範囲)、手背(1~4指の先端部)

『後神経束(C5~6)』
【腋窩神経】
筋枝:三角筋、小円筋
皮枝:上腕上部の外側(上外側上腕皮神経)
【肩甲上神経】
【肩甲下神経】
【胸背神経】
【橈骨神経】

 

②胸神経(T1〜12)
ⅰ)前枝
  • T1~11:肋間神経
  • T12:腰神経叢⇒肋下神経
ⅱ)後枝

背部の筋や皮膚を分節的に支配する

 

③腰神経(L1〜5)
ⅰ)前枝
  • L1~4:T12と共に腰神経叢を構成
  • L4~5:腰仙骨神経幹を構成し、仙骨神経叢に合流
ⅱ)後枝

腰部の筋、皮膚を分節的に支配する

 

※L1〜3の皮枝

上殿皮神経となる

 

※腰神経叢(T12〜L4)

大殿筋の深層に位置する。
下腹部、鼠径部、陰嚢(大陰唇)、大腿前面の筋と皮膚感覚、下腿内側面の皮膚感覚を司る。

  • 腸骨下腹神経
  • 腸骨鼠径神経
  • 陰部大腿神経
  • 外側大腿皮神経
  • 大腿神経
  • 閉鎖神経

『腸骨下腹神経(T12〜L1)』
皮枝:下腹部、臀部外側
筋枝:腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋

『腸骨鼠径神経(L1)』
皮枝:下腹から大腿上部内側、外陰部
筋枝:腹横筋、内腹斜筋

『陰部大腿神経(L1~2)』
皮枝:外陰部、大腿上部内側
筋枝:精巣挙筋

『外側大腿皮神経(L2~3)』
筋裂孔を通る
大腿外側の知覚

『大腿神経(L2~4)』
筋枝:大腿四頭筋、腸腰筋、縫工筋、恥骨筋
前皮枝:大腿前面の下から3/4
伏在神経:下腿内側

『閉鎖神経(L2~4)』
筋枝:大腿の内転筋(恥骨筋以外)
皮枝:大腿内側下2/3

 

④仙骨神経(S1〜5)
ⅰ)前枝

前仙骨孔から出る
L4~5の前枝と共に「仙骨神経叢」を構成する
大坐骨孔を通って臀部に出て、臀部、大腿後面、下腿、足の筋と皮膚を支配する。
陰部神経は骨盤底の筋と会陰部の皮膚を支配する。

ⅱ)後枝

後仙骨孔から出る
仙骨後方の筋、皮膚を分節的に支配する

※S1〜3の皮枝

中殿皮神経となる。
(上殿皮神経はL1〜3の後枝)

 

※仙骨神経叢

腰仙骨神経幹(L4~5)とS1~4の前枝から成る。

  • 上殿神経
  • 下殿神経
  • 後大腿皮神経
  • 陰部神経
  • 坐骨神経(脛骨神経、総腓骨神経)

『上殿神経(L4~S1)』
梨状筋上孔を通る
筋枝:中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋

『下殿神経(L5~S2)』
梨状筋下孔を通る
筋枝:大殿筋

『後大腿皮神経(S1~3)』
梨状筋下孔を通る
大腿後面の知覚を支配する

『陰部神経(S2~4)』
大坐骨孔、小坐骨孔を通る
筋枝:外肛門括約筋、尿道括約筋、肛門挙筋、浅・深会陰横筋
皮枝:会陰部、外陰部

『坐骨神経(L4~S3)』
①脛骨神経
筋枝:下肢の後面(大腿二頭筋短頭を除く)、足底の筋
皮枝:下腿の後面、足底の皮膚
②総腓骨神経
筋枝:大腿二頭筋短頭
皮枝:下腿外側
a.浅腓骨神経
筋枝:長腓骨筋、短腓骨筋
皮枝:足背
b.深腓骨神経
筋枝:前脛骨筋、長母指伸筋、長指伸筋、第三腓骨筋、短母指伸筋、短指伸筋
皮枝:母指と第二指の対向縁

3)自律神経系