頭蓋骨とは…
体幹の最上部にあり、脳を包む保護骨格
1)頭蓋骨の成り立ち
(1)脳頭蓋(神経頭蓋)
頭蓋の上方で、頭蓋腔を形成して脳を保護します。
屋根に相当する部分を「頭蓋冠」
床に相当する部分を「頭蓋底」
①頭蓋冠
- 頭頂骨
- 前頭骨
- 後頭骨
- 側頭骨
が、それぞれ
- 冠状縫合(前頭骨と頭頂骨)
- 矢状縫合(左右の頭頂骨)
- ラムダ縫合(頭頂骨と後頭骨)
- 鱗状縫合(側頭骨と頭頂骨)
によって縫合されています。
3つ以上の骨が会合する部分を「泉門」と言います。
泉門は結合組織の膜です。
大泉門が前で生後2歳後半で閉鎖、小泉門が後ろで生後3ヶ月で閉鎖します
②頭蓋底
頭蓋腔の底部を構成します。
内面から見たものを「内頭蓋底」、外側から見たものを「外頭蓋底」
「内頭蓋底」は大きく「前・中・後頭蓋窩」に分けられます。
a)前頭蓋窩
- 前頭骨
- 篩骨篩板
- 蝶形骨の前方部
で構成され、前頭葉が入ります。
篩骨篩板・・・
篩板によって左右に分かれています。多数の小孔があって、嗅神経を通します。
蝶形骨の小翼・・・
前頭蓋窩の後縁になります。
b)中頭蓋窩
- 蝶形骨の後方部
- 側頭骨の前方部
で構成され、側頭葉が入ります。
中頭蓋窩の中央部は、蝶形骨の体部で構成されます。
中央部に乗っかるような形で「トルコ鞍」が形成されており、トルコ鞍の中央を「下垂体窩」と言います。
トルコ鞍の前方(蝶形骨の小翼の基部)には・・・
左右一対の視神経管があり、視神経を通します。
トルコ鞍の両側(蝶形骨の大翼)には・・・
小翼との間に高低差があって、そこの隙間に「上眼窩裂」を構成します。
上眼窩裂は、眼窩と連絡しあう神経を通します。
・動眼神経(Ⅲ)
・滑車神経(Ⅳ)
・三叉神経(Ⅴ)の第1枝である眼神経
・外転神経(Ⅵ)
蝶形骨の大翼には・・・
三叉神経の第2枝である上顎神経が通る「正円孔」
三叉神経の第3枝である下顎神経が通る「卵円孔」
蝶形骨と側頭骨の間には…
内頚動脈と頚動脈管が通る「破裂孔」があります。
c)後頭蓋窩
- 側頭骨錐体
- 後頭骨
- 蝶形骨体
で構成されています。
側頭骨の錐体には…
顔面神経(Ⅶ)と、内耳神経(Ⅷ)が通る「内耳孔」があります
側頭骨の錐体と後頭骨の境目には…
・内頸静脈
・舌咽神経(Ⅸ)
・迷走神経(Ⅹ)
・副神経(Ⅺ)
が通る「頚静脈孔」があります。
後頭骨には…
舌下神経(Ⅻ)を通す「舌下神経管」があります。
「外頭蓋底」は「前方部、中部、後部」に分けられます。
a)前方部
上顎骨の歯槽突起に囲まれた部分で、口蓋と歯列弓からなります。
b)中部
- 頬骨弓(頬骨と側頭骨の頬骨突起で構成されます)
- 下顎窩(顎関節の関節窩)
で構成されます。
蝶形骨の「卵円孔」
蝶形骨と側頭骨の間にある「破裂孔」
側頭骨の錐体にある「頚動脈管の外口」
があります。
c)後部
乳様突起:胸鎖乳突筋の停止部
茎状突起:乳様突起の内側
後頭顆:環椎後頭関節の関節頭(2軸の楕円関節)
大後頭孔:脊柱管から頭蓋腔の連絡口
茎乳突孔:顔面神経(Ⅶ)
頚静脈孔:内頸静脈
(2)顔面頭蓋(内臓頭蓋)
頭蓋の下方、眼窩・鼻腔・口腔などの臓器の入り口を囲みます。
9種類、16個の骨で構成されます。
- 上顎骨
- 頬骨
- 涙骨
- 鼻骨
- 下鼻甲介
- 口蓋骨
- 鋤骨
- 下顎骨
- 舌骨
①眼窩
眼窩を構成する骨は7つ
- 前頭骨
- 篩骨
- 涙骨
- 蝶形骨
- 上顎骨
- 頬骨
- 口蓋骨
有名なゴロ合わせがありますね。
「今日、前工場長が涙した(頬、前、口、上、蝶、(が)涙、篩(た)」
上眼窩裂とは…
蝶形骨の大翼と小翼の間
下眼窩裂とは…
蝶形骨の大翼と、上顎骨の間
②鼻腔・副鼻腔
鼻腔とは…
梨状口で顔面に開いている孔で、「鼻中隔」によって左右に分けられています。
鼻中隔は上半分が篩骨、下半分が鋤骨で構成されています。
鼻腔の外壁は、篩骨の一部である「上鼻甲介」「中鼻甲介」、独立した「下鼻甲介」が内腔に向かって突出しています。
副鼻腔とは…
- 上顎洞
- 蝶形骨洞
- 前頭洞
- 篩骨洞
の4種類があります。
上顎洞とは…
最大の副鼻腔で、上顎骨体内の空洞で、半月裂孔から中鼻道へ開口します。
蝶形骨洞とは…
蝶形骨体の内側から鼻腔の後上方へ開口します。
前頭洞とは…
前頭骨の内側で左右1対あります。半月裂孔から中鼻道へ開口します。
篩骨洞とは…
鼻腔の上前方、篩骨迷路内の空洞で、中鼻道・上鼻道へ開口します。
③口腔
2)頭蓋骨をつくる骨
(1)前頭骨
(2)頭頂骨
(3)後頭骨
(4)側頭骨
(5)蝶形骨
(6)篩骨
3)顔面頭蓋をつくる骨
(1)鼻骨、涙骨、頬骨
(2)上顎骨
(3)口蓋骨、下鼻甲介、鋤骨
(4)下顎骨
(5)舌骨