この本は、
「集中力が続かずに本が読みきれない」
「内容が読んでも頭に残らない」
「読んだ内容を人にうまく説明できない」
といった悩みを抱える人への処方箋を示してくれます。
僕自身、決して本を読むのが嫌いなわけじゃないんですけど、読んだ(つもり)の本の量に対して知識があまりついてないという実感がありました。
そんな「読書の質を改善したい!」という目的のために、この本を読んでまとめてみました。
「知識を操る超読書術」の目次

この本では「知識を操るサイクル」として、
- 読む準備
- 読み方の工夫
- アウトプットをする
という3つを、繰り返し行うことを重要としています。
それはそのまま目次にもなっていますね。
「知識を操る超読書術」の要点
1.読書の質を高めるための3つの準備
読書の質を高めるためには、根本的なこととして
自分の「目的」や「動機」から欲しい知識を具体的に決めることが何よりも大切だ
と述べられています。
まだ読んだこともない本に対して、明確な目的を持つのは難しいですが、その悩みを解決るためのテクニックが3つ紹介されています。
1)本を読むモチベーションが途切れ気味…
と、そんなふうに感じている人には、
自分の人生の目標や行動を箇条書きにして可視化したもの
人間が何か行動を起こす時は、
- その理由
- もたらされるメリット
- 期待していること
の3つを箇条書きにしてメモに書き出すことで、迷いが生じた時にこれを読み返すことでやる気を取り戻すことができるという仕組みです。
2)読んだけどいまいち頭に残らない…
と、そんなふうに感じている人には、
「自分があらかじめ持っている知識」と「本に書かれている自分が知らなかった知識」の差を意識することが好奇心を刺激する
キュリオシティ(Curiosity)というのは「好奇心」という意味で、好奇心を刺激することによって脳の記憶する仕組みを活性させる効果があります。
3)どの本を読んでもいつも途中で挫折してしまう…
と、そんなふうに感じている人には、
自分の中にある本が読めない原因を知る
セルフテストとは、本が読めない理由を知り、それに対して対策をとることで、読書に対する苦手意識を払拭していくというものです。
この本では、メルボルン大学の研究で出た10項目のチェックを行うことで、今の自分の読書力を知ることを勧めています。
10項目のチェックテストとは、
- 十分な時間とモチベーションが足りない
- 集中力の維持ができない
- 読むスピードがなかなか速くならない
- ボキャブラリー不足
- 本のどの部分に集中すべきか選べない
- 新しい理論、細かい情報を理解できない
- メインのポイントと議論のポイントがつかめない
- エビデンスの価値が測れない
- 本の内容を理解するための背景知識や経験がない
- 馴染みのない分野である
これらの問題の解決策については、この本にしっかりと書かれています。
2.理解力と記憶力を高めるための5つの読み方
これから紹介する全てのテクニックにおいて共通しているのは「ただの読者にならないこと」です。
好奇心や想像力、質問力を駆使して、自ら仕掛けていく姿勢が理解度を高める読み方として重要になります。
1)予測読み
タイトルや著者のプロフィール、目次や帯にある情報を元に、どんな内容が書かれているかを予測し、その予測と実際に読んだ後に理解した本の内容を比較することで理解を深めるテクニックです。
2)視覚化読み
文章をマインドマップなど、構造化することによって全体像が把握しやすくなり、記憶しやすい状態になるというテクニックです。
3)つなげ読み
つなげ読みには3つのタイプがあります。
①text-to-text
以前読んだことがあるものと紐付けて理解度を高める方法
②text-to-self
過去の自分の体験と紐付けて理解度を高める方法
③text-to-world
世の中に起こっていることと紐付けて理解度を高める方法
ただし、これらの方法を全てのページで行ってしまうと、読書のスピードが著しく遅くなっってしまうので、理解しておかなければならないと思う重要なポイントに絞って行う必要があります。
重要なポイント探しには「しかし・つまり読み」が有効です。
4)要するに読み
最初から最後までをじっくり読むのではなく、各章を拾い読みしながら「要するにこういうことが言いたいんでしょ?」と、自分の言葉であえて言い切るようにします。
要約することで、読む優先順位を決められることがメリットの一つ。
また、自分の言葉であえて言い切るようにすることで、感情を添えることで記憶に定着しやすくなることがもう一つのメリットです。
5)質問読み
トルコの名門ハジェテペ大学の研究チームが出した「読書に有効な17の質問」というものがあります。
- この本がテーマとしている問題提起は何か?どんな問題を提示し、どんな解決方法を提案しているのか?
- この本はどのように始まり、どのように終わったのか?
- あなたはこの本から何を学びたいか?
- この本が同じジャンルの他のホント似ている部分、違う部分はどこだろう?
- この本はなぜ重要なのか?
- この本のタイトルは内容と合っているだろうか?あなたが本のタイトルをつけ直すとしたら?
- この本のキーポイントやコンセプトはなんだろう?
- 本の書き出しをチェックして、作者は読者を引き込むためにどんなトピックを展開しているか?
- 本で扱われているビジュアル要素から何を学んだか?それらの要素からどんな種類の情報を得ることができただろうか?
- 著者は読者に対してどう考えて欲しいと思っているだろうか?
- 人に勧めるとき、どの章のどんな情報を一番に取り上げるか?
- 作者はこの本をおもしろくするためにどのような工夫をしているだろうか?
- 作者の主張のどこに賛成できるか?その理由は何か?
- テーマを説明するために作者がどのような事例を出しているのか?興味深かった例は?
- この本を読んでいるときにどんな感覚になったか?
- この本で最も重要な一文はどれか?その理由は何か?
- 本の内容を振り返って、自分にとって一番刺さった箇所はどこか?
なぜ質問読みが理解を深めてくれるかというと、「読む」という行為がインプットなのに対して、「質問」と「回答を作る」ことはアウトプットになるからです。
本を使って自問自答することが内容の理解度を高め、記憶の定着を図ってくれるのです。
3.知識を自在に操る3つのアウトプット
本は実際に人に説明しなくても、人に説明するつもりで読むだけで記憶への定着率が28%も上がると言われています。
- 本から得た知識を定着させて、自分自身や周りの人に役立てること
- 「これいいな」と思った内容を実践し、習慣化させること
を達成するために有効な3つのアウトプット方法を紹介します。
1)テクニカルタームで聞き手の心をつかむ
テクニカルタームとは専門用語のことです。
専門用語だけで話すのは、相手の理解を邪魔するだけですが、あえて最初にテクニカルタームを出すことで、聞き手に「何それ?」と注意をひきつけてから、分かりやすい説明をしていくという手法です。
2)SPICEで説得力を高める
伝える時にSPICEという5つの要素を入れることによって、人の心を大きく動かすことができるようになります。
S:sinplify(単純化)
P:perceived self-interest(私的利益感)
I:incongruity(意外性)
C:confidence(自信)
E:empathy(共感)
Simplify(単純化)
相手に伝えたいことをできる限り単純にすることです。
Percived self-interest(私的利益感)
聞き手の利益になるような言い方をする。
Incongruity(意外性)
意外な事実に相手の注意を向けさせて、その間に説得する。
Confidence(自信)
ずば抜けて良いところがある人と出会うと好印象が強く残り、「この人なんでもできそう」と思わせてしまう「ハロー効果」を活用する。
Empathy(共感)
適切な質問で相手の気持ちを把握し、その上で共感を入り口に説得します。
3)思想書と科学書のダブル読みでアウトプットの質を高める
思想の部分は古代から大きく変わっておらず、現代のビジネス書なども長年読まれてきている思想書の内容をアレンジしているものが多いので、思想書については古典から古びることのない真理を学ぶほうが良いです。
また科学書については、やはり最新のデータが反映された本の方が良いです。
そうして「思想書は古典、科学書は最新のもの」をそれぞれ読むことが、アウトプットの質を高めるために重要です。
「知識を操る超読書術」のまとめ
まだまだ読書になれていない自分にとっては、
「こうやってまとめただけでも1冊を読むのに時間がかかってしまいそう…」
と読み終わってすぐの時には思ってしまったんですが、ふと気づいたのはその「1冊読む」という発想が、すでに古い価値観だなと感じました。
なぜこの本を読みたかったのか?得たい知識を明確にして、それを人に伝えること
これを最初のうちはまとを絞って、読んだ冊数ではなくて、アウトプットの数を増やしていこうと思えました。